7月27日(日)、午後の便でバラナシに行くので、午前中のみ観光。タクシーでオールドデリーにある、ムガール帝国の都として建設されたデリー城(ラール・キラー)へ。
前日から気になっていたのだが、道に全く牛がいない。前日は空港→ニューデリーだからいないのだろうと思っていたのだが、オールドデリーにもいない。牛が道で寝そべっている写真は読者の目を惹きやすいから雑誌や本に載っていることが多いけど、まあ、実際はこんなもの。
ラール・キラーに入って思った。日本の皇居やタイの王宮のような、狭い場所に凝縮された宮殿とは持つ雰囲気が違う。
まさしく、帝国の首都だ。
で、帝国って何?
中学校の歴史の時間、ヨーロッパ史の年表を見ながらの授業中だったろうか、「帝国と王国はどう違うんですか?」と質問したことがあった。両方とも君主が治める国で、違いは無いんじゃないかと気になっていたのだろう。
この質問に対し、先生からどういう説明を受けたのかは全く思い出せないのだが、ヨーロッパ史の授業だったから、君主国のうち(建前上)ローマ帝国の後継者と名乗っているのが帝国、などと説明されたのだろうか、あるいは、西ヨーロッパにおける「帝国」という定義を超えて、より一般的に、多民族を包含する国家と説明されたのだろうか。
私なりに、帝国についての新たな仮説を提示してみたい。
「帝国は不潔だ。」
サンプルは、帝国が中国とインド、帝国以外が日本とタイだけなんだけど。中国とインドといえば、不潔の両巨頭。一方、日本は潔癖症の筆頭だし、タイはどんなにみすぼらしい店のトイレに入っても、不潔ということが少ない。
自分の家のトイレだときれいに使う人でも、公共のトイレだと雑に使ってしまう、というのとパラレルな気がする。
家族という身近な集団(≒一つの民族)だけが使う物は清潔にするけど、どこの馬の骨だか分からない人(≒他民族)も使う物は清潔にしない。
巨大で圧倒させるパワーがあるという以外特に見るべき物の無い、それでいてだだっ広いラーウルキラーを、強い直射日光の中歩きながら、こんな根拠薄弱な仮説を考えていました。
デリー城(ラール・キラー) 2008年7月27日10時ころ
補足
上の仮説は、帝国とそれ以外という対立なのに対し、大陸国家と島国という対立なのだが、興味深い記述があるので、転載します。
吉崎達彦氏のサイト「溜池通信」内
「かんべえの不規則発言」 2008年3月15日のDiary、ニュージーランドの島国気質について記述です。
○どうもマオリ族といい、英国移民といい、外からやってきた人たちはついつい自然を破壊してしまう。ところが、この島に長く居続けるうちに、彼らの子孫は環境を非常に大切にするようになりました。今ではテロ対策はあんまり気にしていないけど、生態系の維持には非常に気を使っています。今回訪れたクライストチャーチなどは、空気が汚れるからといって、今年の冬から「家庭は暖炉禁止」にするそうです。そのためにエアコンを入れる場合は、市から補助が出るのだとか。でも、たかだか37万人の家庭から出る暖炉の煙が、いかほどのことがありましょうや。
○おそらく、島の風土はこんな風にして人々の気性を変えていくのでしょう。かくして「島国気質」が形成される。おそらくわが日本民族も、はるかに古い時代に似たような経路をたどったのではないでしょうか。大陸や北方や南方から、いろんな民族が日本列島にやって来て、最初は無茶をやるんだけれども、次第に温和で調和志向で環境重視になっていく。そして大陸に住む人たちと相性が悪くなる。