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夜行列車(Marudhar Express)(前編)@バラナシ駅→アグラ・フォート駅

新婚旅行でインドに行く夫婦は稀だろうが、新婚旅行でインドの寝台列車に乗る夫婦はもっと稀だろう。

多少とも安全策をとろうと思い、インターネットで予め予約、それも一番上のランクを予約しておくことにした。
ただ、予約完了のメールを見ると「2nd sleeper」とある。なんか、あまり上のクラスっぽくないネーミングで不安になる。が、バラナシ→アグラは主要幹線じゃないから1st classが連結されていないんだな、と自分に言い聞かせていた。
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日本の鉄道よりも1両1両の長い車両が10両以上も連なっている長大な列車の脇に来て見てみると、3段寝台車である2nd Sleeperの下には、インド人がぎゅうぎゅう詰めになっている座席車しかなく、2nd Sleeperの上には、AC(エアコン)Sleeper、2段寝台があった。
日本人旅行者や欧米人旅行者は、当然のようにAC Sleeperに乗り込んでいく。
今更ながら、2nd Sleeperに乗ることが危険な気がしてきて、車掌さんに、ACが空いていたら移りたい旨伝えたが、「乗客リストがまだ手元に届いていないから、しばらくACの隣の2段寝台で座って待っていなさい。」と言われ、待つことに。
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列車は、バラナシの駅を発つと、すぐに農村地帯へ。
日本にいると、都会の方が農村よりも清潔な気がするが、下水道の発達していない途上国では都会の方が不潔で農村の方が清潔なことが多い。風景から抱く印象も、狭い所に人も動物も密集しているバラナシに比べてのんびりしている。
あの強烈なインド人達も、農村では(車内から見た印象でしかないが)少し穏やかそうに見える。

しかし、そんな風に農村風景を見てのんびりとしている余裕は無い。
車掌さんがやって来た。AC Sleeper、2段寝台とも空席は無いという。インターネットで予約した時点では、2nd Sleeperが一番上のクラスだと思っていたけど、その時点で既にAC Sleeper、2段寝台が満席だっただけだったということだ。

ぼくらの本来乗るべき2nd Sleeperへ移動せざるを得ない。だが、車両の1両1両が長いうえ、編成がやたらと長く10両以上、しかも、ぼくらが待っていたのは長大な編成の後ろから2両目、一方、ぼくらの乗るべき車両は前から2両目。長大な編成を端から端へと移動するに等しい。

車両を移るにつれ、客層も、AC車ではトランクを引いている外国人旅行者と金持ちのインド人しかいなかったのが、2段寝台車ではバックパックを抱えた外国人旅行者と多少裕福そうなインド人、それが、3段寝台車へ入ると、目つきの鋭いインド人ばかりで外国人旅行者の姿は見かけなくなっていった。
ようやくたどり着いたぼくらの車両には、何故かヨーロッパ人の女性旅行者グループがいた。それまでインド人に囲まれ少し不安げだった彼女達はぼくらの姿を見てほっとしていたようだが、ぼくらも、インド人だらけの中で彼女達を見たことで少しほっとした。それに、ぼくらの寝台の周りはインド人一家勢揃いの旅行で、ここなら安心かな、という気に少しさせてくれた。
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しかし、ほっとしている余裕は無い。
3段寝台の上段に乗り込むと、あまりの狭さゆえ、何もできやしない。
この状況で朝まで10時間以上耐えなければならないのかと思うと、寝台列車に乗ろうなどと提案したことが愚かしく思えて仕方なかった。

(つづく)

Marudhar Express 2008年7月29日18時15分~2008年7月30日6時10分(インド国鉄時刻表より)

by yokohama_nakame | 2008-08-27 06:47 | インド(India)  

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