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大沼保昭教授最終講義@東大駒場キャンパス

昨年、日本人メジャーリーガーの先駆けとして米国に渡った野茂英雄投手が引退したが、「悔いが残る。」とコメントしていた。
私の場合、大学にしても仕事にしても、悔いが残らないことの方が少ない。大学時代、●●を学んでおけばよかったな、と思うことは多いし、国際法のゼミ、憲法のゼミ、国際政治学のゼミ等、けっこう多くのゼミに出ていたが、久々にゼミ時代の文献を開いてみると、このテーマならこれを書けたな、この議論をしたかったな、と思うことだらけだ。

大学時代の授業・ゼミの中で、最も印象に残っているのが大沼ゼミだ。大沼ゼミは非常に厳しいことで知られ、私の代は(学部生と院生の合同ゼミだったのだが)、院生が前日に気合いを入れて準備をしすぎて発表中に倒れて病院に担ぎ込まれた、なんてこともあった。この事件以来、先生の厳しさが少し影を潜めたとも聞く。
私が司法試験を受けることを決めた頃、先生にその旨報告したら、「君の場合、時間がかかりそうだな。」と言われ、実際、合格まで先生の予想通り時間がかなりの年月がかかった。合格した後で、合格報告の手紙を出したところ、先生から「おめでとう。」との電話を頂いたが、「君の場合、時間がかかりそうだな。」と言われましたけど、、と言ったら、「そんなこと言ったかな?」と言われてしまった。
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1月後半、仕事が津波のように押し寄せてきて、栄養ドリンクの一気飲みが日課のようになっていたが大沼教授の最終講義をどうしても聴きたかったので、この日は、無理を言って17時に早退。
井の頭線渋谷駅の売店でこの日3本目の栄養ドリンクを飲んで、駒場キャンパス900番教室へ向かった。
最終講義ということで、学生だけでなく社会人風の人や年配の人も少なくない。まあ、それはいいのだが、教壇の上のスクリーンに映されていたパワーポイントにはびっくりした。私の大学時代には、どの教授もパワーポイントもレジュメもほとんど使わず教授が口頭で授業を進めていったものだが、今は違うのか??ついでにいうと、最終講義のためか、パワーポイントのデザインは山科けいすけ氏のイラストである。。
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授業を聞くと、15年の空白を感じさせないほど、私の頭にすうっと入ってくる。
ふと授業中に思い出したのは、昨年11月から今年の1月にかけて、留学準備のため書いていたエッセイ(英語での課題作文)のことだった。その中の一つで最も自由作文的な色彩の強かった、あるスクールから出されていた、「最近の世界的出来事で何があなたに影響を与えたか?」という課題に対して私の書いたエッセイが、自分の関心分野を選びながらも、もろに大沼教授の授業・ゼミの問題意識を反映したものになっていることに気づかされ、授業を受けながら笑ってしまった。
師から学んだことが、普段意識してはいなくても、自分の血肉として生きていたようで、大学時代に対する悔いが少し和らいだ。

大沼保昭教授最終講義 2009年1月28日18時~19時15分

by yokohama_nakame | 2009-02-13 03:43 | 東京の日常  

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